ストレッチとは、筋肉の起始と停止を引き離すことで筋肉を伸ばすことです。
ストレッチの目的:筋肉の緊張を緩める
よくストレッチは筋肉を伸ばすことに意識がいってしまいますが、ストレッチの目的は筋肉の緊張を緩めることです。
筋肉を緩めるための方法が二つあります。
筋紡錘を対象としてストレッチを行う方法と腱紡錘を対象としてストレッチを行う方法です。
これら二つについて書いていきます。
【筋紡錘について】
筋紡錘とは、筋肉の長さの変化に反応する受容器です。
筋肉は筋繊維と呼ばれる細い繊維が束になってできています。
筋肉を伸ばしすぎると、筋繊維はちぎれてしまいます。
それを防ぐために筋紡錘があります。
筋肉を伸ばしすぎると、筋紡錘の防御反応で筋肉は収縮します。
これを伸張反射といいます。
伸張反射を起こすと、筋肉は収縮するため、緊張してしまいます。
つまり、筋肉を緩めるためには、この伸張反射が起こらないようにゆっくり筋肉を伸ばさなければいけません。
■静的ストレッチ~筋紡錘を対象としたストレッチ~
静的ストレッチとは、筋肉を伸ばした状態でしばらくの間、静止するストレッチ方法です。
静的ストレッチは伸ばす時間と強さがポイントです。
●伸ばす強さについて
静的ストレッチを行う際のポイントは、筋紡錘に刺激が入らないように、ゆっくり伸ばすことです。
少し筋肉が伸びている感覚がある程度の強さが目安です。
●伸ばす時間について
筋肉を何秒伸ばすかということもポイントになります。
状況や目的によって、伸ばす時間は変えていかなくてはいけません。
・試合前(ウォーミングアップ)…10~15秒
・試合後(クールダウン) …30~60秒
・肩こり 腰痛(機能改善) …2~3分
筋肉を緩めすぎると、動きのパフォーマンスが低下するという研究結果があります。
そのため、試合前は10~15秒程度で、少し緩めるぐらいが最適です。
試合後は、試合で疲労し、緊張してしまっている筋肉を緩めなければいけません。
ストレッチを行った際に、筋膜という部分で伸びを感じています。
筋膜はコラーゲンとエラスチンと呼ばれるタンパク質でできています。
ストレッチを行うことで、コラーゲンとエラスチンが基質→ジェル状→液体と変化していき、筋肉が弛緩します。
30秒ほど筋肉を伸ばすと、まずエラスチンが液体となります。
さらに、90秒以上伸ばしたあたりから、ようやくコラーゲンが液体へと変化していきます。
疲労した筋肉の緊張を緩めるためには、エラスチンレベル(30~60秒)のストレッチで効果があります。
しかし、肩こりや腰痛など機能改善を目的とした場合は、コラーゲンレベルまで行わなければいけないため、90秒以上(2~3分)のストレッチが効果的です。
●どのような時に静的ストレッチを行うべきか
・運動後(クールダウン)
・負傷部を伸ばす(足がつった時など)
・動的ストレッチを行う前
・肩こり 腰痛などの機能改善の時
●伸張反射を起こさせないための工夫(メディカルストレッチング)
メディカルストレッチングとは、本来のストレッチは筋肉の起始と停止を引き離して行いますが、メディカルストレッチングは起始を伸ばして停止を短縮(起始を短縮して停止を伸ばす)して行います。
そうすることで、筋肉への刺激が減り、伸張反射を起こさずにストレッチングを行うことができます。
クールダウンや足がつったときなどに、筋肉に負荷をかけずに緩めることができるので最適です。
例えば、しゃがみこんだ状態で静止すると、メディカルストレッチングを行っている状態になります。
四頭筋…股関節のところで収縮されていますが、膝関節のところで伸ばされています。
ハムストリングス…股関節のところで伸ばされていますが、膝関節のところで収縮されています。
腓腹筋…膝関節のところで収縮されていますが、足関節のところで伸ばされています。
上記のことから、しゃがみ込むだけで足のほとんどの筋肉の緊張が緩みます。
短時間でクールダウンを行う際などにオススメのストレッチング方法ですのでご紹介します。
【腱紡錘について】
腱紡錘は筋肉の力の変化に反応します
筋肉は骨に付着しています。
強い力で筋肉を伸ばすと、筋肉が骨から切離されます。
それを防ぐために腱紡錘があります。
強い力で筋肉が伸ばされると、筋肉が骨から切離されないように防御反応として、筋肉が弛緩されます。
つまり、一時的に強い力で筋肉を伸ばし、腱紡錘を刺激することで筋肉を緩めることができます。
■動的ストレッチ~腱紡錘を対象としたストレッチ~
動的ストレッチとは、反復した動作によって行うストレッチ方法です。
ラジオ体操やブラジル体操が動的ストレッチにあたります。
●どのような時に動的ストレッチを行うべきか
・試合前(ウォーミングアップ)
・関節可動域の改善
サッカーの試合では、筋肉が伸びた状態で静止する動きはほとんどありません。
伸びたり、縮んだりという動作を繰り返します。
そのため、試合前は、より試合に近い動きをする動的ストレッチが最適です。
しかし、寒い冬場など、いきなり動的ストレッチを行うと筋肉を損傷してしまう場合があるため、静的ストレッチで10~15秒程度伸ばしてから行うほうが良いと思います。
以上のことが、柔軟性(ストレッチ)についての主な内容です。
目的、状況によって、方法 時間 強度を変えて行うことで、より効果がでるストレッチができると思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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